季節で変わる日本酒の顔――「しぼりたて」「新酒」「ひやおろし」って何?

日本酒には、同じ銘柄でも季節ごとに異なる表情があります。

通常、日本酒は冬に仕込み、春先から火入れ処理。
その後に出荷されるのが一般的。

※仕込みの開始時期は酒蔵によって異なります。
とある酒蔵では11月の第一週の酒蔵開きに合わせて1本目のお酒を仕込み、
3月までに順次色々なお酒ができあがっていきます。
そのほか高知は9月から販売され、新潟は11月頃から販売されることもあります。

その中にはあえて熟成させたり、
逆に搾ってすぐに出荷する「季節限定酒」もあります。

今回は、日本酒の年間サイクルを踏まえながら、
出荷時期順にそれぞれの特徴を紹介します。


◆ 日本酒の年間サイクルを知ろう

日本酒は秋に収穫された新米を使い、
冬に仕込みの最盛期を迎えます。

そこから瓶詰め・火入れなどの工程を経て、
春から本格的に出荷が始まるのが基本的な流れです。

年間の主な工程は以下の通りです:

10〜11月:新米入荷、仕込み準備
12〜 2月:本格的な仕込み・発酵(寒仕込み)
2〜 3月:搾り → 新酒(火入れなし or 火入れ)
3〜 4月:火入れ → 出荷用商品化
5〜 8月:熟成・貯蔵/夏酒出荷
9〜10月:ひやおろし出荷

日本酒は季節とともに生まれ、育ち、出荷されています。

その中でも「しぼりたて」や「新酒」は、
酒が“生まれる瞬間”を味わえる特別な存在です。


◆ しぼりたて(12月〜3月)

出荷時期:最も早い/12月上旬〜
特徴:搾りたてのフレッシュ感、ほとんどが“生酒”

しぼりたては、即出荷されるフレッシュな日本酒です。

火入れをしない「生酒」として出回ることが多く、
華やかな香りと荒々しい味わい、ほのかなガス感が魅力。

まさに、酒蔵から届く“冬の初便”として人気の季節酒です。


◆ 新酒(1月〜春)

出荷時期:しぼりたての次/1月〜3月中心
特徴:その年の収穫米を使った「今期の新作酒」

「新酒」とは、新米で仕込まれた日本酒のこと。

しぼりたてと違い、火入れ処理がされているものが多く、
味がやや落ち着いてから出荷されます。

新酒はフレッシュさの中にも安定したバランスがあり、
「今年の酒の出来」を知る入口として親しまれています。


◆ 夏酒(6月〜8月)

出荷時期:初夏〜盛夏/6月〜8月頃
特徴:冷やして楽しむ、軽快・低アルコール設計

春に火入れされた新酒や、低温貯蔵された酒をベースに、
夏向けに調整されたのが「夏酒」です。

爽やかな酸味、スッキリした飲み口、微発泡、低アルコールなど、
暑い時期にぴったりの仕様が多く、
冷酒グラスで楽しむのが定番です。


◆ ひやおろし(9月〜10月)

出荷時期:秋の訪れとともに/9月〜10月
特徴:一度だけ火入れ、夏を越して旨みが増す熟成酒

冬に搾った新酒を、春に一度だけ火入れ。
夏を越してから常温で出荷するのが「ひやおろし」です。

熟成によって旨みが増し、
まろやかでコクのある味わいが楽しめます。

“秋上がり”とも呼ばれ、食欲の秋にぴったりな一本です。



【まとめ|季節酒の出荷順比較表】

名称出荷時期特徴火入れ
しぼりたて12月〜翌3月搾りたて、最もフレッシュなし(生酒が多い)
新酒1月〜春先今期の酒。しぼりたて後に火入れあり(通常)
夏酒6月〜8月軽快・爽やか・冷やして飲むあり/微発泡など多様
ひやおろし9月〜10月夏越し熟成でまろやか一度のみ

「しぼりたて」の若々しさ、
「夏酒」の涼感、
「ひやおろし」の熟成…。

まさに日本酒は四季の移ろいを感じさせてくれる一杯。

その時期の味覚やシーンに合わせて、
日本酒の“旬”を楽しんでみてはいかがでしょうか?

***

こうした仕上げの季節ごとの特徴を知ることで、
自分の好みに合った日本酒選びがもっと楽しくなります!
ぜひ“仕上げのキーワード”にも注目してみてください。

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